この正月、以前、祖父母が住んでいた家の売却が決まり、納戸の整理に行ったのですが、
多くの骨董品(ガラクタ)の中にいくつかの時計が出てきました。
その中にあった時計の一つがまだ、祖父が健在の数十年前、私はまだ小学生だったのですが、その時に見せてくれたシルバーに輝く腕時計を見て、その美しさに魅入られ、「これほしい」とねだった時計です。
その時は「いつか大人になったらあげるよ」とあしらわれてしまったのですが、子供ながらにいつかもらえると楽しみにしていたのですが、さすがに記憶から消えていたものです。
その時の記憶が、他の祖父の記憶とともによみがえってきます。
機械式時計は非常に繊細な機械で3-5年に一回オーバーホールをしなければいけません。
それが何十年もメンテナンスされずに放置されてきた時計が動くはずもなく。
現在、その家の所有者である叔母に了解を取り、修理できる業者を探す日々が始まりました。
今、ROLEXをはじめとしたスイスの高級機械時計は大ブームで街中には多くのブランドウォッチショップがあるので、すぐに見つかるだろうと考えていたのですが・・・。
1件目、比較的新しいお店
店の人全員集まってきてなんやかんや、結局「この時計は知らない」「ROLEX以外わからない」
2件目、神戸老舗の高級時計専門店
そのお店は、メンテナンス専門ショップも抱えており、そこなら問題ないだろうと入っていきました。
結果出てきた答えが、
「初めて見るが、50年以上前の商品だと思う、国内では修理できない。本国(スイス)に送って見積をしてもらう必要がある。見積代に最低30万、修理代はいくらかかるかわからない。断った場合でも見積費用と手数料はかかります。また、見積に最低3か月、修理するならそこから最低半年です。」
ある程度予想はしていましたが、そんな余裕などなく、とぼとぼと退店しました。
そのあとも何軒か廻り、ネットでなんでも修理します。と書かれたお店にも問い合わせましたが、なかなか思うような店は見つかりません。
色々調べた結果、三宮の「高架下商店街」、というJR高架線路の下に作られた戦前からある商店街の中に古くから店を構える小さな時計屋で修理できるかもと情報が。ダメもとで行ってみることにしました。
そこには時計の電池交換をしているらしい60前後?と思われる店主がいたので早速時計を提示。
「どうでしょう、他店ではこうこういわれたのですが・・・」。
「最初の店は潜りですね、最近時計も知らずROLEXの投機目的の店が多くて残念なことです」
「その有名店(当然実名)は、あなたを盗難者と思ったかもしれない(笑)知らないはずがない」
(失礼な話です(# ゚Д゚)
上記は高級時計のランキングマップ。
その時計は上から2列目に並ぶAudemars Piguet(オーディマピゲ)です。
ちなみに日本で大ブームのROLEXは5列目
2店目確かに知らないはずがないですね、正規代理店でもあるし。
とはいえ、人気のモデルではなく、保存状態も良くないため、驚くような価格では売れませんが、直せるものなら身に着けたい。
でどうなの?、修理できるの?
「私は同じ時計を3回修理したことがあるが、ばらしてみないと修理できるかの約束はできない。見積に2か月かかる。見積費用はとらないが、直せるとなったときにやめるなら5万円だけください。」
とうれしいお言葉。
機械式時計とは、わずか数ミリの本地の中に数百(300-800ぐらい)の部品が組み込まれており、見積もりをするのにはこれを分解し、部品一つ一つをチェックして、戻す作業。
3Dのジグソーパズルを組み立てるような仕事。
見積5万で考えても割に合わない仕事です。
2か月たっていつ連絡が来るか待ちわびていた先日、ついに電話が鳴りました。
「修理できそうです。部品も見つけたので、費用も199000円、3か月で修理できますがどうしますか」
もちろん、
「お願いします!!」
しばらく小遣いなくなります。(涙)
でも歴史を生き抜いてきた日本の職人に感謝し3か月待ちたいと思います。