※季節遅れのアイキャッチ画像で失礼します。
お布団のぬくぬくが愛しい季節になってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
できればずっと布団にもぐっていたいおで子です。
さて、わたくし最近こんなお買い物をいたしました。
普段それほどネイルをしないおで子が迷いなく購入したのはなぜかといいますとですね、
こちらのネイル、テーマが『万葉集』なんですね!!!
万葉和歌に登場する植物の名前が色名になっていて、各カラーにつき一首ずつ和歌が紹介されています。
学生時代に古典文学を勉強していた身としては、こんなのもう手元に置いておくしかありませんよね。
爪先に『万葉集』をまとえるなんて、嬉しい限りです。
企画担当の方と固い握手を交わしたい気持ちです。
ちなみに、おで子が購入したのは「尾花」というカラー。
尾花はススキのことですね。
モチーフになっているのは、こんな和歌です。
秋づけば 尾花が上に 置くつゆの 消ぬべくも吾は 思ほゆるかも(巻八、1564番、日置長枝娘子)
秋づいてきて、尾花の上には消えそうな露。
その露のように、私自身も消えてしまいそうに思われます、というような意味の歌になります。
(ちょっと手元に信頼できるテキストがなく、完全に意訳になってしまうのですが、、)
この歌の次に掲載されているのがこの歌への返歌なので、
愛しい相手に「そのくらいあなたのことを思っているんですよ」と不安な思いをぶつけるような歌なのかもしれませんね。
万葉和歌、素朴な題材でまっすぐに想いを詠む歌が多く、大好きなものがたくさんあります。
『万葉集』は、奈良時代後半に編纂された、日本最古の和歌集です。
…と言ってしまうととっても遠いもののように思われてしまいがちなんですが、
たとえば今の元号「令和」が万葉和歌から名付けられたのは記憶に新しいかと思います。
そして、現在『すずめの戸締まり』が話題になっている新海誠監督。
新海監督が2013年に発表した作品『言の葉の庭』は、万葉和歌が大きなモチーフになっていました。
鳴る神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ(巻十一、2513番、柿本人麻呂歌集)
鳴る神の 少し響みて 降らずとも 我は留まらむ 妹し留めば(巻十一、2514番、柿本人麻呂歌集)
「雷が少し鳴って、曇ってきて雨でも降ったら、あなたをここに引き留められるのに」という女性側の歌に対して、
「雷が鳴って雨が降ったりしなくても、あなたがここにいるなら一緒に留まりましょう」と返しているという、
何ともかわいらしくてロマンチックなやり取りですね。
31文字×2首、たった62文字でドラマは生まれるんです。
この多くを語らずしてドラマが生まれていく言葉の可能性にやられて、私は和歌というものが大好きなのですが、
中でも『万葉集』の、より自然の中での生活に密着したような和歌に得も言われぬ魅力を感じます。
今から1300年くらい昔に編纂されたものですが、現代の我々の感覚とそう遠くないのが不思議ですね。
久しぶりに『万葉集』に触れて、やっぱりいいなぁ、と再認識したのでした。